The Beatles
 なんと言えばいいのでしょうかね。まぁ詳しい人は幾らでもいるので言及は避けますが、Beatlesというバンドはジョン・レノン(vo,g)、ポール・マッカートニー(vo,b)、ジョージ・ハリスン(g,vo)、リンゴ・スター(ds,vo)の4人からからなるイギリス・リヴァプール出身のロックンロール・バンドです。彼らは4人全員がソングライターであり、個性的なプレイヤーでありました。特にバンドの楽曲の殆どを手がけるレノン=マッカートニーの作曲コンビの影響は現在を見渡しても未だに濃厚であるほど。恐らくバンドという形態を取る以上彼らの影響無視することはほぼ不可能なのでは?と思えてしまうほどです。ギターをプレイする人にとってのジミ・ヘンドリクスのようなものですね。彼らは今風に言えばストロークスがそういわれるように“ロックンロールリヴァイヴァリスト”でした。彼らがデビューした当時はエルヴィスは別格としても、もはやロックンロールが下火であったのです。そこに彼がバディ・ホリー&クリケッツのバンド的な格好良さ、エディ・コクランのワイルドさ、エヴァリーブラザースの綺麗なコーラス、キャロル・キング的なスタイルの馴染みやすいメロディ、リトル・リチャードのシャウト、チャック・ベリーのいなせなギタープレイ、そしてエルヴィス同様のアイドルとしてセクシャルさを兼ね備えた可愛いルックス。その全てを兼ね備えいたのがBeatlesでした。彼らの出身地リヴァプールは港町ですから外来の格好良い音楽を全部詰め合わせる事が出来たのでしょう。その点で彼らは“最もアメリカが鳴らさなくてはならないサウンド”とも呼ばれました。しかしそれだけではセックス・ピストルズ止りになってしまいます。彼らがここまで、因果なまでポップミュージック界に影響を及ぼしているのはそういった環境などの要因の他、過去の遺産をミックスするというポップミュージックの掟をいち早く発見した上に、やはり才能がモノを言ったのでしょう。管理人個人的な思い入れとしてはBeatlesに始まりBeatlesに終わる、という感じでしょうか?恐らく音楽というものを初めて意識して聴いたバンドですね。そういえば中村一義さんと同じく僕はどこのメーカーが出してるのかすらあまりわからない廉価な編集盤から聴いて嵌ったのを思い出します。アルバムはいずれ全てを扱う事になるとは思いますがとりあえず気に入ってるものと、その時の気分で決めたいと思います。
『Beatles for Sale』
1、No Reply
2、I'm a Loser
3、Baby's in Black
4、Rock & Roll Music
5、I'll Follow the Sun
6、Mr. Moonlight
7、Kansas City/Hey-Hey-Hey-Hey!
8、Eight Days a Week
9、Words of Love
10、Honey Don't
11、Every Little Thing
12、I Don't Want to Spoil the Party
13、What You're Doing
14、Everybody's Trying to Be My Baby
 本作は1964年12月リリースされた通算4枚目のアルバム(編集盤を除く)。と、言う事でこのアルバムは彼らアイドルにとっては大事な“クリスマス商戦”に向けて大急ぎで作られた「やっつけアルバム」という評価が一般的です。しかしやはり人間疲れたときが一番「素」が出るのと同じで、このアルバムでは彼らがこれまでにどんな音楽を愛しプレイしてきたことが明確にわかります。時間の都合で大量に収録されたカヴァー曲(M4、M6、M7、M9、M10、M14)もそれに拍車をかけているでしょう。アルバムの色彩としてはフォーク、ロックンロール、ロカビリー、ブルース調のものが多く前作にあたる「A Hard Day's Night」のようにはじけた感覚はありませんがジャケットのように疲れ切った表情の彼らが作ったわりには元気の良いアルバムになっています。しかしオリジナル曲の出来が後半まで持たないのがファンにとってこのアルバムの印象を薄くしている一因でもあるでしょう。1曲目ジョン・レノン作曲の「No Reply」から名曲。詩作的にはジョン・レノン初のストーリーのある歌詞と言われますが内容的には好きな女の子に取り合ってもらえない切ない男心、もしくはフラレタ女にしつこく着きまとってるストーカーというたわいのないもの。しかし、出だしからジョン&ポールの歌いだしが絶妙で楽曲構成的にも起伏に富んだメロディでダイナミックに聴かせる。2曲目はジョン・レノン作曲の「俺は負け犬」と歌うロカビリータッチの軽快なナンバー。シニカルな詩作にはボブ・ディランの影響があるといわれています。3曲目は私管理人が大好きなカントリーワルツの「Baby's in Black」。これはライブでのジョンとポールが顔をつき合わせて歌う姿が非常に印象的。「彼女の黒い服が僕をブルーにさせるんだ」と多忙なスケジュールを揶揄した歌としても有名だそうです。4曲目はジョンのヴォーカルによるチャック・ベリーのカヴァーで問答無用のロックンロール。ジョンのロックンロール・ヴォーカリストとしての天賦の才をまざまざと見せ付けられるでしょう。5曲目もジョンのヴォーカルによるR&Bカヴァーで冒頭の絶叫寸前のシャウトがあなたの心を揺さぶるでしょう。6曲目は負けじとポールがリトル・リチャードのカヴァーでファンキーなシャウトを聴かせます。これらのカヴァー曲はほぼダビング無しの1・2テイクで済んでいるということを考えると、Beatlesが元からヒット曲を繰り返すアイドルバンドではなく本来はR&Bやロックンロール、ブルーズを聴かせるワイルドなライブバンドであったことを思わせます。しかし8曲目の「Eight Days a Week」以降のオリジナル曲に切れが無い。確かに悪くは無いし、むしろ好きなんですがこれはファンのなんとやらで客観的には中途半端な曲だろうなと思えてしまいます。逆に最後のカール・パーキンスのカヴァーである「Everybody's Trying to Be My Baby」のジョージ・ハリスンの切れが眩しい位。こう色々と書いて来ましたが実際は個人的に最も愛聴しているBeatlesのアルバムの一枚であります。