Led Zeppelin
LED ZEPPELIN。1968年結成。メンバーはロバート・プラント(vo)、ジミー・ペイジ(g)、ジョン・ボーナム(ds)、ジョン・ポール・ジョーンズ(b,ky)の4人。1980年暮れに解散するまで世界bPバンドの名を欲しいままにする。バンドの起源は元イギリスのブルーズロックバンド・ヤードバーズのギタリストであったジミー・ペイジがヤードバーズを解体し、結成したのがこのレッド・ツェッペリンと言うバンド。ツェッペリンと言うバンドは大雑把に言えばブルースをベースにしたバンドと言う事になります。しかしツェッペリンの音楽はヤードバーズ的な本格志向なブルースロックに留まらず、あのジミ・ヘンドリクスが志向したような大音量エレクトリックブルーズロック路線を踏襲しつつ独自のへヴィなロックを追及していくことになります。ロバートのヘヴィで大音量の演奏に真っ向から立ち向かう甲高いヴォーカル、ボーナムの独特の溜を作りながら重戦車のように突き進むドラム、ジョン・ポール・ジョーンズのスムースとも言えるフィーリングを湛えたベースプレイ、そしてペイジの魔術的魅力を湛えたギターリフ。この4人ががっぷり四つを組んで肉弾戦(しかもかなりの死闘)を繰り広げたのがツェッペリンというバンドが素晴らしい理由で、この4人の揃った瞬間の傍若無人なまでの推進力、突破力、破壊力。これに肉薄する、もしくは同等のバンドグルーヴを持ったバンドが居るとすれば、全盛期のWhoぐらいのものでしょう。個々の演奏力という点ではCreamなどの方が全然上である事は1聴しただけで明らかですが、全く相手を思いやる気の無いCreamのメンバーに出せなかったものが、この特定の人物が揃った瞬間の化学反応で起きる爆発力というものであります。単に70年代の人気バンドやメタルやハードロックの原点としてだけでなく、バンドグルーヴ・アンサンブルというロックバンドの持つ大きな魅力の1つをわかりやすい形で明らかにしたバンドという意味でも絶対に素通りする事の出来ない存在としてあり続けるでしょう。
『Houses Of The Holy』
1、The Song Remains The Same
2、The Rain Song
3、Over The Hills And Far Away
4、The Crunge
5、Dancing Days
6、D Yer Mak Er
7、No Quarted
8、The Ocean
1973年3月発売の5枚目のアルバム。前作に当たる4枚目アルバム『(通称フォー・シンボルズ)』で自分たちが世界最高のロックバンドであることを高らかに宣言したツェッペリン。その王者としての余裕を持って製作が行われたのが本作で、セールスの方も前作の次に位置するバンド史上2番目の売上を記録。内容の方は非常に実験的で刺激に満ちたものになっています。まず冒頭のM1からジミー必殺のギターリフがボンゾ(ボーナム愛称)を従えて颯爽と登場。途中急にテンポダウンすると悩ましげなプラントのヴォーカルが入りセクシーな展開へ突入。それに酔ってると、いきなりジミーがつんのめりながらお馴染みヘタウマギターソロを展開(笑)そしてプラントのヴォーカルと絡みながら曲は疾走し続けあっという間に曲は終了する。5分半と結構長い曲なのだが、各楽器の絡みと展開の美味しさがリスナーを一切退屈させないのだと思われる名曲。M2は一転アコースティックギターにクリアなエレキギターが絡む美しい曲。途中弦が流麗に入ってきて非常にロマンティック且つドラマティック。初めて聴いた時一瞬「これ、ツェッペリンの曲?」とか思ってしまったが、聴くにつれドラムがどう考えてもハードロックなので(笑)安心して聴けた。この曲はアルバム中でも非常に人気の高い曲で管理人も大好きだ。M3はいわゆるグランジ・オルタナティヴの楽曲の雛型であるヴァース・コーラス・ヴァースの展開を提示したのでは思われる楽曲。アコースティックギターのジャギジャギした音に達観したかのようなプラントのヴォーカルが寄り添う。そうしているとぶっ潰れたペイジのギターと待ってましたとボンゾのドラムが乱入。録音スタジオをコロコロ変えるツェッペリンらしくこのハードなパートはあまり音がよろしくない。ちなみに私はこの曲が良いと判ったのは2003年に発売されたライブ盤を聴いてからでした。でも本盤のヴァージョンはやっぱりあまり好きじゃない。そして続くM4は出ました、後の1つの路線と化して行くツェッペリン・ファンクの初登場作品。ここでは割りとカッティングも軽妙に決まっている。よりファンキーにするためプラントのヴォーカルも「ah〜」とか「Oh〜」とか連発しまくり。しかしボンゾのドラムが異常に重い。この曲の経験によって軽妙なファンクよりボンゾのドラミングをいかせるよりハードでメタリックなファンクへと移行したのでは、と思われる。曲の展開はほとんど無くミニマル、というよりツェッペリンならではの「ゴリ押し」だろう(笑)。M6はやっと安心して聴けるツェッペリンのアベレージなハードロック。いい曲なのだが今までが刺激的な分面白みにかける曲。M7になると今度はレゲエだ。ただちゃんとレゲエになってるのペイジのギターフレーズぐらいのものであとは今まで通りのツェッペリン。この曲以降ツェッペリンはレゲエはやってないことからこの曲の存在感を理解していただけるであろう。M9はジョーンズのキーボードが幽玄と言うより奇妙な空間を醸しだす。加工された気味の悪いプラントのヴォーカルが時折顔を見せたり、やっぱり潰れ気味ギターとドラムが空気を一変させたり、ピアノがちょろっと出たりの、割りと尺長めのプログレチックな曲。当然プログレ苦手な私にはちっとも面白くない曲。アルバム自体は何度も聴いたがこの曲だけ飛ばすことが殆どだ。そして最後のM10は待ってました!のツェッペリンならではメタリックでハードな面とファンクのリズムの溜(ベースはなぜかブルースっぽいが)が始めて融合に成功した名曲。やっぱり決め手となるのがペイジのリフとバシャバシャと騒ぎ立てるボンゾのドラムだ。プラントのヴォーカルもアルバム中最もテンションが高い。やる気の無いコーラスやブレイクを挟んで再びペイジとボンゾとジョーンズの重戦車が突入する瞬間のカタルシスは忘れがたい快感だ。以上全8曲。やりたいことが増えてきてややとっ散らかってはいるが、そのとっ散らかり振りが非常に刺激的な癖になる一枚だ。管理人も最近このアルバムから離れられない日々が続いている。