Little Feat
Little Feat。フランク・ザッパのマザーズに在籍していたローウェル・ジョージ(vo,g)がザッパに「Willin'」と言う曲を持ってきたところ、「ふー(溜息)、おまえさぁ、うちのバンドじゃドラッグソングはやらねぇーんだ、YO!」(管理人の妄想)と一蹴されると共に曲の出来自体は良かったので「お前自分でバンドやったら?」ということで、いざ出陣。1971年にアルバム『Little Faet』でデビュー。メンバーはローウェルに、ビル・ペイン(ky)、リチャード・ヘイワード(ds)、ロイ・エストラダ(b)がオリジナルで72年の2nd以降にロイがやめ、ポール・バレア(g,vo)、ケニ―・グッドニー(b)、サム・クレイトン(per)、が加わった3rd時点でこのバンドは絶頂期を迎えます。音楽的にはカントリー、ジャズ、ブルース、R&B、ファンク、ロックンロールをグチャグチャにしたような音楽性です。一言で言えばルーツミュージックをロック化しようとした重要なバンドの1つですね。デビューアルバムから2ndまでは割りとキャッチ―な曲多めで聴きやすい音楽性でしたが3rd以降の「ドロドログチャグチャネバネバのニューオリンズR&B路線」に移行。これに嵌ったら最後、第二の故郷がニューオリンズになるのは間違い無いでしょう。しかし3rd以降フロントのローウェルがドラッグに溺れ、バンドの主導権は徐々にビル・ペインの元へ。78年のライブアルバム『Waiting For Columbus』を最後にローウェルはバンドに興味がなくなり、バンドを離れソロ活動中に心臓発作で死亡。バンドはローウェル抜きでアルバムを一枚製作するも、一旦解散。その後80年代に再結成をし、今現在も活動中。リトルフィートというと、我々日本人にとってははっぴいえんどとの絡みだったり、矢野顕子さんとの共演が有名なせいかどうかは分かりませんが、何気にフィート自体のコアなファンが多いと感じております。コアなザ・バンドファンの量と比べたらその差は歴然としているでしょう。それは恐らくフィートが独自のグルーヴを持っていたからでしょう。タワー・オブ・パワーもそうですが僕も含めた日本人はとにかくファンキーな音楽が好きで、R&B的な裏伯だったり、リズムの溜だったりが“美味しい”音楽に対する熱狂的なファンは確実に存在します。日本で昔ジャズメッセンジャーズを初めとしてファンキージャズが流行ったのもこれに符合する現象でしょう。ただ、リトルフィートが面白いのは必ずしもグルーヴに頼って音楽をやっていた訳ではなく、メロディックだったりアーヴァンなAOR路線すら見せていたところや、カントリーとジャズという志向としてはまったく逆に思えなくも無い音楽が平然と混在し、成立していたことがこのバンドの最大の魅力でしょう。
『Waiting For Columbus』
Disk 1
1、Join the Band
2、Fat Man in the Bathtub
3、All That You Dream
4、Oh Atlanta
5、Old Folks' Boogie
6、Dixie Chicken
7、Tripe Face Boogie
8、Rocket in My Pocket
9、Time Loves a Hero
10、Day or Night
11、Mercenary Territory
12、Spanish Moon
Disk 2
1、Willin'
2、Don't Bogart That Joint
3、A Apolitical Blues
4、Sailin' Shoes
5、Feats Don't Fail Me Now
6、One Love Stand
7、Rock & Roll Doctor
8、Skin It Back
9、On Your Way Down
10、Walkin All Night
11、Cold, Cold, Cold
12、Day at the Dog Races
13、Skin It Back
14、Red Streamliner
15、Teenage Nervous Breakdown
この作品は78年発表のリトルフィートが繰り出した最後にして、最高の瞬間をパッケージしたライヴアルバム。78年次点でバンドはビル・ペインのジャズ・AOR志向とローウェルのニューオリンズ志向が対立。それでバンド自体に嫌気がさしたローウェルはドラッグに溺れバンドに興味無し状態。しかしそんな中で製作されたにも拘らず、このライブアルバムはフィート史上最高の一枚と呼んで差し支えない出来となった。この時代のアメリカのアーティストならではのスタジオ盤よりライブ盤が出来が良いという評判の筆頭とされる作品となる。アルバム冒頭のトラディッショナルをア・カペラで合唱する瞬間からもう鳥肌立ちまくり。そしてファンへの挨拶が終わり、1曲目(M2)のカウベルが聴こえた瞬間思わず「いやっほぉぉぉぉ!」と絶叫したくなるほど興奮。これがレッドツェッペリンだと演奏のパワーと疾走力で客を圧倒しまくって騒ぐ暇も無いだろうがフィートの場合やる音楽の性質上客も多いに騒げる。とにかく演奏と楽曲がセクシー。いや、セクシーと言うよりむしろ“エロい”(笑)気合の入ったヴォーカルで高揚し、流麗なキーボードがうっとりさせ、リズム隊が下半身をくすぐり、ローウェルのスライドで昇天。曲数が多いので流れだけを説明する(アルバムが実際の曲順ではないらしいが、実際こう行われたと仮定して)が前半は特にメロディ重視でしっとり聴かせ、中盤以降は徐々にファンキーな曲とインプロで畳み掛ける。勿論本人たちも休めるような楽曲を挟みつつ(笑)。そしてオーラスには怒涛のロックンロールチューンを持ってくるという周到さ。楽曲の気に入り度合いと言うよりも単純にエンターテイメントとして楽しめるので入門にも向いていると言えると思う。リアルを求めるハードコアやオルタナ以降はそんな傾向は減ったが70年代は元よりロックのライブアルバムというのは何かしらの手が加えられるのが常。この作品も勿論オーヴァーダブが行われていると言う。しかし幾ら何も加えなくてもライブアルバムは実際のライブと違うのも常。そこを認識してこそ初めてライヴアルバムとうものが独自の存在位置を獲得し、楽しみ方が増える。そういう点でこの作品は私にとって最高のライヴアルバムの一つとなりました。ちなみにここで取り扱ってるのは本作は2002年に発売された「完全盤」の2枚組みです。スネアの音が従来盤とは比べ物になりません。さぁ僕と同じように旧盤を売り払ってこれを買いましょう(笑)!!