The Byrds
The Bryds。1965年デビュー。結成時のメンバーはジーン・クラーク(vo,tambourine)、ロジャー・マッギン(g)、デビット・クロスビー(g)、クリス・ヒルマン(b)、マイケル・クラーク(ds)の五人。ですが、バーズはメンバーの出入りがかなり複雑です。それはアルバムそれぞれの項に譲るとして、ここではバーズのサウンドの変遷なんかに触れてみたいと思います。バーズはデビューシングル「Mr.Tambourineman」で見事全米1位に。これは言わずと知れたボブ・ディランの曲をエレクトリック楽器によるカヴァーした作品でフォークロックブームの火付け役となりました。バーズはフォークロックの元祖と言われていますが、それは正しくもあり、間違いでもあります。フォークロックという文脈を使用して最初に空前の大ヒットを飛ばしたはこのバンドですが、その他にもボー・ブランメルズなどのバーズ以前にサーフィン・ホットロッドからいち早くフォークとロック融合させたバンドもおり、一概にどのバンドが元祖と言い切れる状況に無いのです。なのでバーズはフォークロックの元祖と言うより最初にヒットを飛ばしたバンドという捕らえ方が1番妥当だと思われます。そしてそのフォークロックブームを通過したバーズはインド音楽を通過した独特のラガ・ロックという当時のサイケ・ロックに東洋的神秘を加えたような音楽を試みます。その間もメンバーの出入りを繰り返し遂に加入したのが、グラム・パーソンズ(vo,g)です。わずか半年しかバンドに在籍しなかったこの男がバーズの音をカントリー1色に染めました。この男が去った後もクラレンス・ホワイト等の優れたカントリーロックギタリストを擁し、70年代のイーグルス等が志向したウエストコーストサウンドの先駆けとしての足跡を残し、71年正式に解散しました。管理人の個人的な思い入れとしてはバッファロースプリングフィールドに嵌っていた期間が過ぎ、次に何を聴こうかと思ってたどり着いたバンドで非常に思い入れは強いです。の割りにCD全部は持っていないんですが(汗)。ロジャー・マッギンのリッケンバッカーの12弦エレキにフラット・ピックとフィンガー・ピックを使用した幻想的な“リンギング・サウンド”というのは非常に憧れました。おまけにマッギンはルックスが良く、僕にとってまさにアイドルでしたね。あともう一人のアイドルは僕の中にあるカントリーロックの扉を蹴り開けてくれたグラム・パーソンズですね。早くして死んだせいもあってこの男のカントリーと言う伝統音楽をロックに取り入れようとする様はは本当に格好良く映りました。あとこれだけは書いて置きたいのが現行CDの音の良さ。恐らく1600円程度で買えるCDの中では最高峰でしょう。現代の音楽に負けないレベル、奥行き。エッセンシャル・シリーズでまた最新のリマスタリングがされたと聞きますが、ちょっとそれは現代のリスナーの耳がレベル渇望症になってるのではないかと思ってしまうほどです。
『Mr.Tambourineman』
1、Mr. Tambourine Man
2、I'll Feel a Whole Lot Better
3、Spanish Harlem Incident
4、You Won't Have to Cry
5、Here Without You
6、The Bells of Rhymney
7、All I Really Want to Do
8、I Knew I'd Want You
9、It's No Use
10、Don't Doubt Yourself, Babe
11、Chimes of Freedom
12、We'll Meet Again
1965年発売の1st。管理人がハマった当時何故かトータルとして最も聴かなかったバーズのアルバムです。勿論歴史的名曲のM1・2なんかは耳に穴があくほど聴きました。今となってはトータルの出来は素晴らしいと思うのですが、当時はロックっぽい疾走感と甘いたなびく様なコーラスとメロディが中途半端(今ではバランスが良いと感じる)だったせいか、本作よりもっとメロディの甘い2ndや迷作である3rdの方をよく聴いてました(笑)。いわゆるギターポップなんですね、このアルバム。僕の中ではあまりにフォークロックという言葉の印象が強くてどう捕えていいのか良くわからなかったんです。一旦ギターポップの源流の1つと考えればこれほど明快な一枚はないでしょう。ですがバーズのディスコグラフィをさっと眺めるとかなり異色の作品となります。サウンドとしては絶妙の味を持ったコーラスにM1に代表されるような煌びやかな12弦ギターがストロークではなく、アルペジオ気味に弾かれるミドルテンポのナンバーが多いです。12曲中7曲がカヴァーと言うのもこの時代ならでは。そうした本作において注目すべきは次作で脱退してしまうジーン・クラークのソングライティングです。M2を始めとし、オリジナル曲は共作を含め殆ど彼が関わったものになります。彼のフォークを基調としながらもビートルズを筆頭としたブリティッシュロックサウンドを絶妙に取り入れた非常にポップなナンバーの中毒者は多く、この優れたソングライターの有無はファンを分けてしまう要因となるほどでした。とにかくバーズの1・2枚目は洋楽初心者、またはギターポップの好きな方には是非お薦めしたいです。更なるバーズの深い森への誘いはまた、別項に譲ると致しましょう。