Weezer
Weezerは1992年2月アメリカのLAで結成。メンバーはリヴァース・クオモ(vo,g)、ブライアン・ベル(g,vo)、マット・シャープ(b,vo)、パトリック・ウィルソン(ds)の4人。フロントマン兼メインソングライターはリヴァース・クオモ。サウンド的にはノイジーでハードドライヴィンなパワーコード重視のポップソングから新世代のパワーポップと認知されています。2枚目のシングル「バディ・ホリー」が全米第1位になったことから俄然注目され1stアルバム「Weezer(ブルーアルバム)」も大ヒットでトップスターの仲間入りを果します。しかし成功に戸惑ったか要のセンシティヴ・ボーイのリヴァース・クオモが大暴走。インタビューからは逃げまくるわ、バンドやってるのに突然大学に入るわ(しかもハーバードだってよ)で周辺は大混乱。そんな中やっとこさリリースされた2枚目のアルバム「ピンカートン」(96年)が本国で大失敗。しかしここからがこのバンドの面白い所で、この2枚目のアルバムが日本で大ヒット。日本で1stのリリースが遅れていたため、この2枚目は1枚目で獲得した日本の新規Weezerファンをそのまま取りこぼすことなく獲得し、尚且つ心の内面を抉る様な蒼い心象吐露が日本の悩める若者の琴線に触れ大人気アルバムになったのです。そうは言っても2枚目の本国での失敗が響いて間隔は空いた(リヴァースが大学へ戻ってしまったり、98年にマット・シャープが脱退、後任にマイキー・ウェルシュが加入などのメンバーチェンジがあった模様)ものの3枚目にリリースされた「Weezer(ザ・グリーンアルバム)」(01年)が待ちわびたファンとそのプロフェッショナルなソングライティングをモノにした楽曲に国内外問わず大ヒット。復活とセールス的に大成功を遂げたアルバムではあったが、一部(日本だけか?)で「2枚目よりエモーショナルでは無くなった」と騒がれファン同士で「1・2枚目が最高で3枚目はクソだ」や「いや3枚目も良いよ」と無駄な議論も交わされました。しかしこれも彼らが如何に期待されているバンドかを表す現象と言えるでしょう。一方バンドは復活の勢いを損なわないように短期間で4枚目「マラドロワ」(02年)をリリース。これまでの3枚には及ばないもののやはりWeezerのソングライティングレベルの高さを示すのには十分な内容と言えるアルバムをリリース。しかしあまりに短期間でのリリースのためか楽曲があまり練られていなく勢い重視のヘヴィメタルmeetsグリーンデイなアルバムと言う印象を残し前作ほどの成功は得られませんでした。それから2年後の2004年現在、Weezerは新作の準備中といわれており、我々ファンはいち早い完成の報を待つばかりである。
『Weezer(Blue Album)』
1、My Name Is Jonas
2、No One Else
3、The World Has Turned and Left Me Here
4、Buddy Holly
5、Undone (The Sweater Song)
6、Surf Wax America
7、Say It Ain't So
8、In the Garage
9、Holiday
10、Only in Dreams
94年の1stアルバムにしてWeezerの最高傑作、の1つ(笑)。ただの田舎者でイケてないメガネハードロック・メタル坊やだったリヴァース・クオモが世間に向けた改心の一撃と言った所でしょう。M8の歌詞にある様にKISS(見た目で敬遠するべきではないほど名曲がたくさんある)などを髣髴とさせるハードな質感を残したソングライティングに前世代のパワーポップの牽引役であったカーズのリック・オケイセックの血が入る(プロデュース)ことによりハードロックやメタルの爽快感と馴染みやすいメロディ(アレンジやコーラスもかなりパワーポップよりであると思う)が1つに融合し最強の様式が整った。アコースティック・ギターによる導入部と結末が感動的なM1、良く聴くとこのアルバムには少ない直線的な疾走ナンバーであるM2、チープなシンセが絶妙なポイントで使われる圧倒的な名曲であるM4、意外にファンの多い隠れた(まぁこれだけ売れてれば隠れるもへったくれもないんだが)名曲のM7、リヴァース・クオモのメランコリック全開の青春ソングM8、ファンは冒頭のベースで立ち上がる部分で切なくなってしまうであろうM10とこれ以外にも人気曲・名曲を書いていったら切りが無いのでまだ聴いていない人が居たら自分で名曲を見つけるのがいいと思います。しかしこのアルバムに1つだけ罪があるとしたら先ほど書いた“最強の様式”にあるのです。そう、この様式は圧倒的に真似しやすかった。故にこれ以降雨後の竹の子が如くWeezerもどきが出現しこういった様式のパワーポップは一部の実力派を除いてポップ・パンクに吸収されていくことになるのです。
『Pinkerton』
1、Tired of Sex
2、Getchoo
3、No Other One
4、Why Bother?
5、Across the Sea
6、The Good Life
7、El Scorcho
8、Pink Triangle
9、Falling for You
10、Butterfly
1996年発表の2nd。前作で破格の成功を収めたWeezer御一行。しかーし何故かフロントマンのリヴァース・クオモの御機嫌がひん曲がり気味。「ロック・スター」になるために努力してた割りに、いざなってみるとリヴァースの欲望を満たしてくれるようなファンとのコミュニケートも、恋愛も無かった(ってかファンを恋愛対象にするなよ)。そんな無いものねだりの堂々巡りのブルーにこんがらがった感情がぶち込まれたのがこの作品。それ故この作品を表する時によく「エモ」という言葉が使われる。エモというとどうしても初期FUGAZIだったりのエモ―ショナル・ハードコアの方を想起してしまうので管理人個人としてはどうも違和感がある。ここにあるWeezerは表現がエモ―ショナルな方向へ進めど、サウンド的にハードエッジになろうが、やはりポップだ。苦しいが、言うなれば「エモ・ポップ」(やっぱ苦しいなぁ)か。しかしGreen
Day同様アメリカのリスナーはWeezerはハードドライヴィンなギターに甘いメロディが乗るからこそ気持ち良いバンドだと解釈されていたためか、本作での感情剥き出しっぷりは「No
Thank You」ということでアメリカでは惨敗(それでも60万枚近くは売れてる)。一方情緒爆発大好き我国日本ではこの北斎のジャケもあってか大ヒット(洋楽にしては)。未だに本作をWeezerの最高傑作と譲らないファンが多い。アルバムの中身としては、冒頭M1でいきなり「俺は今してるようなインスタントなセクースじゃ満足できない」とパンキーとすら言えてしまうアレンジで吠えるリヴァースが登場。ここで拳を振り上げられるか萎えるかで本作の評価は決まる。アメリカではここでドン引きだったのだろう。M2も恋の駆け引きに見事惨敗してるリヴァースの嗚咽とも言える歌詞内容で実に生々しい。1stの「ロックが好きで仕方ない内気な少年」だった歌詞が本作ではまるでヤリ○ン。「1stの成功で調子こいて遊びすぎてたんだろ、お前(笑)」といったファンならずとも突っ込みどころ満載なのが本作前半の歌詞の楽しい所だ。ここ2曲聴いただけでもはっきり分かるのがドラムサウンドの良さ。そう、エンジニアにはマーキュリー・レヴのメンバーでありながらエンジニア/プロデューサーとして有名なデイヴ・フリッドマンが参加してるんですね。だからこのアルバムのドラムサウンドを良く聴いてみるとかなり派手目の音ながらもどこか透明感のある独特の音をしているのが分かります。M3〜4まで歌詞は基本的にこの路線の「何で僕を分かってくれないの」系。うざいと言えなくも無いが、M4などのフックだらけの曲ばかりなため、割と歌詞の鬱陶しさは気にならない。M5になると歌詞が恋人から視点が移り、自分を本当に思ってるいるだろう相手になってくる。それが本作を熱狂的に受け入れた日本のファンだというから偶然にも凄いものがある。そして曲調、歌詞共にここら辺りから感情爆発型の「エモ」からゆったりとリヴァース・クオモならではの「メランコリー」の方にシフトしていく。このアルバムの流れの作り方自体は前作とほぼ同様といえる。シングル曲M6などもいかにもなポップソングの構成と演奏してるけどアルバムの後半開始という位置にふさわしいエモとメランコリーの混ざり具合が曲自体を特別なものにしている。人を食ったようなM7をはさみ、M8・9になると曲が一気にメランコリー路線に。もう泣きながらコード弾きしてんのかよと思う位。BPMが落ちて、ヴォーカルも落ち着きがあるためリヴァースならではのメロディの魅力がはっきりと分かるようになってくる。そして最後M10はなんと弾き語り。僕(リヴァース)という毒蛾に引っかかった全ての蝶(恐らくふられたorふった女の子)への謝罪と言う歌詞。管理人もこの曲をアコギでコピーしたことがあるが、メロディーの美しさと相まって情けないことこの上ない。以上全10曲。構成楽曲共に非常に良く出来たアルバムだったが結局このアルバムは売れず(というより受けいれられなかったようだ)、ショックでリヴァースはバンドをほったらかして大学へGO。ベースのマット・シャープもレンタルズなる別バンドに専念するために脱退とバンド崩壊の危機を迎えたまま消息が途絶える。そしてファンはこの後4年という、かくも長きWeezer不在に枕を濡らすことになるのです。